2022年9月25日日曜日

以前のモデルよりも使えると言われるSnapdragon480端末について

  来年、ミドル・エントリーとSoCの新製品の発表を控えているクアルコム社製のエントリーモデルSnapdragon480(以下SDM480と表記)は、2021年1月に発表された製品で、いまとなっては新しいとは言えないものです。しかし、ベンチマークテストのスコアだけをみると、前モデルのSDM460との比較では、総合性能で約50%に近い差があります。もっと差は小さいかな。筆者は、旧モデルのSDM450端末を持っていて、動画再生だけでも、すぐに発熱で暖かくなるのでお蔵入りにしました。処理能力もそれほどでもなく基本操作もサクサクではなかったです。実際、使っている人からの話ですと長時間通話でも熱くなるらしいです。メーカーや機種依存のせいかもしれませんが。

 スマホ関連情報などでは、SDM480の性能については控えめな表現だったので、発熱問題は解消していなさそうだなと思っていましたが、エントリー端末が売れても儲けが少ないのか、エントリー端末にそもそも関心がないかで控えめだったのか、実際にSDM480端末を使ってみると、発熱は気にならないものでした。基本動作も、ミドルと比べれば若干もたつく程度で、それまでのエントリーモデルとは、ストレスがかなり減った印象です。しかし、限界に近い負荷がかかると急に遅くなるので、過度の期待は禁物ですね。

 だからといって、手ばなしでSDM480を歓迎できるスマホ環境(国内)ではありません。キャリアの国産スマホでは、ディスプレイをHD+に下げてますので、そもそも約5.7インチをフルHD+にするメリットは限定的ということはありますが、携帯キャリアの要望からか中高年の携帯からの乗り換え用というコンセプトで仕様やパーツを選んでいるので、比較的スマホをよく使う層のニーズとは噛み合わず不人気なものになっているようです。また、文字入力頻度も用途の線引きには重要で、SDM480の性能は、文字入力においてもボーダー線上にある感じですね。ただし、頻繁に文字入力をする性能重視派ならば、その大多数はミドル以上の機種を選びそうです。ここが控えめな表現にとどめた要因の1つかもしれませんね。

 その点を深堀すると、約6.5インチのFHD+ディスプレイを採用した少し重さが気になる中華格安スマホのエントリークラス製品群が目に入るようなってきます。筆者も某UQ版Redmi Note 10 JE(SDM480)を使ってみて、処理速度については、以前のエントリークラスの端末群とは一線があることを体感的に知りました。SDM690との比較ですと、CPUが少し弱いので失速しやすいですけど、軽めのアプリ起動なら遅くすぎて困るということは、ほとんどないのかなとは思っています。ただし、個人的にはキャリア版のシングルSIM仕様よりも、デュアルSIMのもので済ませたいとは思っています。キャリア版の場合は、正しくはシングル・デュアルSIMが混在していますので注意が必要です。また、対応バンドによる縛りもありますので、他社回線の格安SIMでは接続ができないなどの情報の整理と確認には慎重さが求められますね。

 最後に総合的にみてみるとSDM480で、以前のエントリークラスでは考えられないほどの快適さとパワーを得ることができたにしても、用途が以前と変わらないのであれば、費用対効果は大してない場合がほとんどです。どちらかというと現在、ミドルの壁になっているのが、カメラ性能になりますので業績を意識するなら、カメラ性能がいいと宣伝するだけで、効果が見込めますからメーカーはそちらに注意力したいけど、携帯キャリアは携帯からスマホへの乗り換えするお抱えの顧客を意識した性能は度外視してでも宣伝効果が見込めるコストダウンした端末がほしいということで、全然スペックが噛み合わないまま端末が供給されているようにみえます。このことについて、誰も指摘できる立場にないために、未完成品ともいえるエントリー端末がもてはやされるという社会現象が発生している様です。