2016年7月21日木曜日

iPhoneと格安スマホの隔たりを考える

 「格安スマホ」というコトバがメディアに跋扈するようになり、ユーザー側に充分な理解のないまま安さに任せて売り抜こうという気風さえ感じられるようになってきている。これは、「格安スマホ」というのが特にこれといった定義のないまま使われていることで、かなりの弊害が発生しているのではないかという懸念につながる。これは、スマホの代名詞とも言えるiPhoneがどんな端末なのかということを考えていかないとまず理解しておかないといけないのではと思うのだが、どうだろうか。
 
 スマホをリードしているのは他ならぬAppleのiPhoneであって、これは業界の暗黙の了解になっている。iPhoneに誰でもが次世代を感じさせる先進的な機能を求めていると言ってもいい。これは、ハードも含めてiPhoneの開発をAppleが一括して行っているからこそできることなので、さまざまなしがらみのある他社では、なかなかできないという状況がある。しかし、Appleでも通信事業者(キャリア)との絡みもあって、ユーザーに直接アピールするという形ではなくなってきている。これは、ドコモでiPhoneを販売するまでに、かなりの時間がかかったことをみても明らかなことだと言える。
 では、iPhoneはそうした状況下で、どのようなものになったかというと全てにおいてユーザーが満足できうる端末を作らざるおえなくなったと考えていいのでないかと思う。これはiPhone人気があってこその話なのだが、結局価格以外では、他社がiPhoneに勝てなかったということの裏返しでもある。追いかけてるライバルを蹴落とすためには、圧倒的な性能が価格に関係なくiPhoneに求められた。
 こうしたマッチョな性能で高額になったiPhoneに嫌気がさしたユーザーは、比較的求めやすい価格のスマホを選んだ。それが、ミドルレンジクラスと呼ばれるソコソコの性能を持つ、いわゆる「格安スマホ」である。こういった動向は、成長市場を中心に起こったものだ。安価な中国製の端末が成長市場で攻勢にでて成功を収めたのだ。これは、iPhoneが成長市場では、高額すぎるということが背景にあって、端末の性能以前の問題がそこにはある。
 こうした価格を武器にした「格安スマホ」は、成長市場を含めて一見成功したかのように見えるが、性能そのものに目を向けてみると成熟市場では、悪い冗談にしか写らないものが横行するというスマホの将来に陰をさす要因となるものになったと言えなくもない。特にカラゲーが普及している国内市場では、出来の悪い「格安スマホ」によるスマホ離れを誘発しかねない状況だと言える。
 いままでスマホの品質は、キャリアのコントロール下にあって、ユーザーの信頼を失わないようなハイスペックをメインにしたもので、元はと言えば、iPhoneを意識した高性能なものを割引いてユーザーに売り込むという戦略から生まれたものだが、家計に占める通信費が高すぎると政府から物言いがつき見直しを迫られている。これは、キャリアが3社しかなく、メーカーとキャリアのWinWinの関係しか考えて来なかった弊害ではないかと考えている。つまり、競争しなくてもやっていけるという甘い考え方がキャリアにあって、儲かればいいと言う公共インフラという意識が薄らいだ戦略になっているのではないかと思えてならないわけだ。
 「格安スマホ」もしかりで、スタートラインでは、品質や性能は実用性がなくてもスマホとして売れば売れると踏んで乗り出したものだ。一様、カメラもついているし通信もできるというところからスタートしているので、それなりの性能のものになっている。しかし、2016年現在では、中国製「格安スマホ」も品質をあげてきていて、カメラは使えないが、音声通話やブラウジングやSNSぐらいなら難なくこなせるレベルにはなってきている。その反面、倫理観に乏しい国民性からかセキュリティについての格差は、歴然として存在しているので気をつけたいところだ。