2014年11月17日月曜日

LTE対応SIMフリースマホZenFone5は、結果的に理想的なモデルになった

 いま売れ行き好調のZenFone5をみていると、少し複雑な気持ちになってくる。ASUSは、有名PCパーツメーカーで、日本の家電系PCにもマザーボードを供給していた。いわば、スマホは後発メーカーの立ち位置だった。それがGoogle Nexus 7を手がけて、自社ブランドの通信機能を持った6インチタブレットなどから、ZenFoneというスマホを展開し、日本向けにZenFone5を周波数の対応や日本語入力にATOKを採用するなど、格安SIM向けにAPNプロファイルまでプリセットして用意してきた。
 ZenFone5の人気は、いままで国内メーカーが通信キャリア用の専用端末だけ製造してきたつけでもあって、台湾メーカーのASUSがごっそり持っていきそうな勢いだ。筆者としては、この動向を歓迎して良いものだとみている。docomo端末では、まともに格安SIMとかでは機能しないわけだし、安いからといっても、よく我慢して使っているなっというのが正直なところでもある。また、ASUSは、PCメーカーなので、チップセットなどを調達するノウハウがある。家電メーカー製のスマホとは中身が違うのだ。
 それに国内メーカーと通信キャリアの蜜月というか、全部入りの高いスマホをユーザに売りつけようというのが見え見えで、エンドユーザのベネフィットとかは全然考えていない。ビジネス向けには、実用性重視のSIMフリースマホを3万円台で提供しているという体たらくぶりなので、なんかモノ造りに美学の欠片もないメーカーが製造したスマホなんて、所詮玩具並みのものでしかないので、シェアもとれないし人気もない。来年のSIMロック解除で、スマホ端末代金の負担をユーザがすることになり、ますます国内で高額なスマホは売れなくなる。そういった意味合いでもZenFone5が先手を打ったことになる。
 ZenFone5は成功したといっても、サイクルが早いから次期モデルでASUSの立ち位置が確保されそうなのだが、今回のZenFone5の販売状況をみていると在庫切れが目につく。販売チャンネルが弱いというか、セット販売とかがあって、今だから言えることだが本体だけの販売に集中した方が良かったと思える。とくに、楽天モバイルにZenFone5のROM 8GBモデルを供給したのは失敗だと言える。日本のマーケットは、そういうのを好まないからだ。本体の仕上がりは高級感があって良いという評判なのだから、供給の仕方もワンランク上げとかないと持続性のある販売台数の伸びは期待できないところ。そういう価格帯の製品でもある。
 スペック的には、(価格から)申し分のないものと言えるが、メジャーになるには防水とおサイフケータイが必要だろう。ワンセグは、オプションぐらいでいいと思える。ZenFone5 のスペックの決め手は、RAM 2GBという他社のRAM 1GBとは2倍の違いがあり、動作に余裕があることだ。これに追随してくるメーカーがでてくるのか興味深く注視している。ソニーでさえスマホが不振ということで、このままだと国内メーカーは全滅かもしれない。